脈状から診る病因・病理

浮脈の病因・病理

浮脈は体が疲れて体力が低下しているか、風などの外邪が体内に侵入している場合に現れます。

 

体力が低下している場合は脈が浮いて弱く、

 

外邪(風や寒、暑など)が侵襲している場合は脈が浮いて速くなります。

沈脈の病因・病理

沈んでいる脈は瘀血や湿を表します。

 

瘀血とは、よごれた血、流れの悪くなった血のことです。

 

体に瘀血が溜まると皮膚が黒くなったり内出血をおこしやすくなります。

 

湿とは邪気の一つです。

 

湿は重く濁っていて粘っこく、気の活動を阻害し、脾の運化を邪魔します。

 

脾の運化とは飲食物が消化され全身に運ばれることをいいます。

 

体に湿が停滞すると、体が重い、だるい、関節痛、筋肉痛、胸が苦しく不快、小便が出ない、下痢などの症状が出てきます。

 

血脈中に水分が少なく、血脈外に余分な水分が溜まっている状態です。

 

また、陽気が不足しても脈が沈み沈脈を表します。

 

陽気 = 陽性の気。陽気が強いと外交的、動的、発熱を表す。

滑脈の病因・病理

まるく滑らかに感じる脈を滑脈といいます。

 

相対的に血が多く、気が少ない場合に現れます。

 

血中の水分が不足して血液が乾いている状態です。

 

乾きは熱を表します。

 

熱がある場合は脈が速くなるので、滑脈はやや速い脈です。

 

症状としては、赤い小便、嘔吐、熱感、痰、消化不良が挙げられます。

濇脈の病因・病理

往来が緩慢で細く、渋る脈を濇脈(しょくみゃく)といいます。

 

血虚を表す脈です。

 

血虚とは血液の不足によって体が虚弱になった状態です。

 

血虚になると下痢、疼痛、麻痺、心痛、腹鳴、冷えなどの症状を表します。

短脈の病因・病理

関上で触れ、寸口と尺中で触れないような短い脈を短脈といいます。

 

気血の衰えを表します。

 

短脈の場合は、四肢の冷え、腹痛、便秘、呼吸困難などの症状が出てきます。

長脈の病因・病理

拍動の往来が滑らかで、寸、関、尺部をはみ出して脈が長く触れる場合は長脈です。

 

体内に余分な熱があることを表します。