季節によって理想的な脈があります。
まず臓腑と季節の対応ですが、
- 春 = 肝
- 夏 = 心
- 秋 = 肺
- 冬 = 腎
となります。
肝脈、心脈、肺脈、腎脈という風に臓腑によって脈の性質が異なります。
例えば、春は肝の季節なので、春に肝脈(肝臓の理想的な脈)を打っていれば健康体と判断できます。
<肝脈>
肝は陰気が多い臓腑です。
陰気が多いということは比較的沈んだ脈になります。
肝脈の性質は牢
牢とは鼓の皮を押すように、少し押せばないようで、強く押すと指の腹に広く堅く感じられる沈伏(沈んでいる)、実大(大きく力がある)の脈をいいます。
肝は陰中の陽の臓腑で陽気があるので長脈になります。
長脈とは脈拍の往来がなめらかで、長く、寸関尺をはみ出して触れる脈を言います。
春にこの肝脈を表している人は健康体です。
<心脈>
心は陽中の陽の臓腑で陽気が多い臓腑です。
陽気が多いので比較的浮いた脈になります。
ただ浮いているだけではなく、浮いていて大きい脈です。
大きい脈ですが指で押すと散ってしまいます。
夏にこのような脈を表している人は健康体です。
<肺脈>
肺は陽中の陰の臓腑です。
陽中の陽の心と比べると陽気が少なくなります。
脈は浮いていて短脈、濇脈を表します。
短脈とは、米粒のように短く触れる脈です。
濇脈とは、脈拍の往来がとても細く、ゆっくりで、滞っているように感じる脈です。
秋にこのような脈を表している人は健康体です。
<腎脈>
腎は陰中の陰の臓腑です。
陰気が多いので沈んだ脈になります。
深層で打つ脈に適度に力があり、柔らかみがあれば正常です。
冬にこのような脈を表している人は健康体です。
以上が季節と脈の関係です。
例えば冬の季節は腎脈(沈んだ脈)が正常な脈です。
冬なのに脈が浮いている場合は脈が沈むように治療します。