不脈、沈脈、胃の気

心と肺は陽気が多い陽臓で、肝と腎は陰気が多い陰臓です。

 

陽気は外交的、動的、発熱性で、外へ出ていこうとする性質があります。

 

したがって心と肺の陽気が多いと息を吐き出す力が強くなり、脈が浮いてきます。。

 

一方、陰気は内向的、静的で、内へ引き込んで、沈む性質があります。

 

肝と腎の陰気が多いと息を吸い込む力が強くなり、脈が沈んできます。

 

つまり、浮脈は陽、沈脈は陰となります。

 

以上から次のことが言えます。

 

  • 浮脈は陽気が多すぎる、または陰気が不足して相対的に陽気が強くなっている。
  • 沈脈は陰気が多すぎる、または陽気が不足して相対的に陰気が強くなっている。
  • 息を吐くのが苦しい場合は陽気の不足
  • 息を吸うのが苦しい場合は陰気の不足

 

次に「胃の気」についてですが、

 

胃の気は浮と沈の中間、つまり表層と深層の中間の脈で診ます。

 

中層の脈です。

 

「胃の気」とは、

 

水穀(飲食物)を受け入れ、消化して栄養を運ぶ機能のことです。

 

胃の気が充実していれば脾(食物を消化し全身に栄養物を供給する臓腑)がしっかり働いて気と血を全身に巡らすことができます。

 

指を手首に軽く当て表層の浮脈を診ますが、少し押して脈が消える場合を胃の気がない浮脈といいます。

 

少し押しても脈を感じるが、表層の方が脈を強く感じる場合は胃の気がある浮脈といいます。

 

同じように胃の気がない沈脈は、深層の沈脈から少し指を浮かせると脈が消えます。

 

胃の気がある沈脈は深層から指を少し浮かせても脈を感じます。

 

胃の気があれば病は快方に向かいますが、胃の気がないと治療は難しくなります。